私の目の前に映っているこの子は本当に私と同じ空間に存在しているのだろうか。疑うのも無理ないわ。だって何だか夢の中にいるみたいなんだもの。ふわふわして私が私でなくなってしまうような、そんな感覚に陥る。きれいだ。本当に。アリスはきれい。そして可愛くて、まるでおとぎ話に出てくるおひめさまみたいで、触れるのも話すのも、ものすごく怖い。壊れてしまうんじゃないかって思ってしまうの。でもアリスはまぎれもなく私と同じ空間にいて、持っているものは私と同じで簡単に壊れてしまうわけなんてないのだ。同じ、なのだ。アリスの周りには人形がたくさんいる。アリスは人形を作るのがとっても上手できれいな人形ばかりを作る。(私も作ってもらったことがある)でも、それよりもやっぱりアリスがきれい。人形に囲まれているアリスがいちばん人形みたいだ。 「どうかした?ぼんやりして」 「あ、あの、アリスはどうしてそんなにきれいなの?」 「綺麗じゃないわ、別に普通でしょ」 「そ、そんなことないよ!アリスはとってもきれい」 「、綺麗になりたいの?」 「え、あ、…う、うん」 ちがうよ、私はきれいになんてならなくてもいいの。だけどそんなことは言えなかった。会話が途切れてしまうようなそんな気がして。私も女の子だし、もちろんきれいになりたいけれど、でも私はアリスがきれいならそれでいい。アリスがきれいになってほしいと望むのなら私もきれいになる努力はするけれどアリス以上にきれいにはなりたくない。(というかなれないだろう) 「それ以上綺麗になってどうするの」 「え?」 「もものすごく綺麗だわ」 「き、きれいじゃないよ」 ふわりとほほえんだアリス。私の心臓は急速にスピードを上げてどくんどくんと熱くなっていく。血が巡って熱くなっていく。アリスはずるいよ。アリスにほほえまれてしまったら私は何も言えなくなる。きれいなアリスがもっともっときれいになる。アリスは私にだけこんな風にやさしくほほえんでくれるのかしら。(そんなわけはない)こんな夢みたいなことを思ってしまうくらいにふわふわとした気持ちになってしまうのだ。でも、今は私にだけほほえんでくれている。それだけで嬉しい。 アリスのことが好き。だけど、だけど私にとってアリスは近いようで遠い存在で、とても私なんかがアリスと一緒になれるなんて思えないわ。ああ、やっぱり私は夢を見ているんだわ。 アリスの長くて細い指がふわりと私の目の前を通る。お茶のおかわりを入れてくれたのだ。私は何て幸せ者なのだろうか。こうしてアリスの家にお呼ばれして、一緒にお茶を飲んだり、おしゃべりしたり。(そういえば私アリスの家にいるんだったわ) 「あ、ありがとう」 「いいえ。…私、がうらやましいわ。容姿だってとても素敵だと思うし、それには心も綺麗だわ」 「あ、アリス…」 「…私がこんなことを言うのめずらしい?」 「そ、そうじゃなくて…は、はずかしくて」 私は両手で顔を覆った。顔が熱い。手も熱い。体が全部ぜんぶ熱い。やっぱりアリスはずるいよ。私に魔法をかけてしまうんだもの。恥ずかしくてアリスのこと見れないよ。私だっていっぱいいっぱいアリスにきれいだって言いたいのに言えないよ。(アリスはどうしてそんなにも余裕なの?)ああ、でも、いつまでもこうして顔を覆っているわけにはいかないわ。手をどかすタイミングを見計らう余裕なんてなくてただただ、ゆっくりと手をどかした。そして私は結構大きめの声で言った。 「あ、アリスのほうが綺麗だもん!!!」 生き急ぐネオン 驚いたあとに笑ったあなたもきれいだった ばかな主人公! 20110218 [★高収入が可能!WEBデザインのプロになってみない?!
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