ここに来るとあまりにも静かで会話をしてはいけないんじゃないか、と思ってしまう。特に二人きりのときには。気を使ってしまうとかそういうことじゃなくて何というか、自分がこの空間を壊してしまうんじゃないかと思うと声を出せなくなってしまうのだ。(魔理沙でもいればまた雰囲気が変わるのだけれど) 目がおかしくなりそうなほどに並んだ本棚の前で私は頭をかかえていた。ただ一言簡潔に言うと…本が多すぎる。どこに何があるか全く分からないわ。しかもどう考えたって届くわけがないところにまで本がぎっしりだし。(飛べること前提で置かれてるよね、どう考えても)まあ、いいわ。私がここに来た目的は本を読むことではないし。 私は適当に本棚から本を取り出してぺらぺらとめくった。本をめくる音が静かなこの空間で響く。それが何だか心地よくて読んでいるふりをしてわざと音をたてた。静かに本を読んでいるよりも静慮になれる気がするわ。(要するに私は本を読むのが嫌いなのね) 目の前がぼやけてきて(睡魔が襲ってきた)ああこれはだめだ、と思った時だった。背中のほうでささやくような声が聞こた。寝ぼけ眼をこすりながら私は振り返った。 「パチュリーどうかした?」 「何をしているの?」 「本読んでたのよ」 「…寝むそうね」 「うん、今ちょうど寝そうになってたところ」 「何読んでたの?」 「ん、(何だろ、この本)」 「…こういう趣味があったのね」 はてなはてなはてな、本の表紙を見てみたけれど私には読めない文字で残念ながら何の本か分からなかった。こういう趣味って、いったいこれ何の本なの?挿絵もないから想像もできないわ。…私本当に適当に選びすぎたわね。せめて自分が読める本にしておくべきだったわ。もちろんそんなこと言えないしパチュリーにどういう本なのか聞くこともできなくてもやもやしたまま本棚に本を戻して、笑って誤魔化しておいた。というかパチュリーはどうしてここに来たのだろうか。さっきまでいつもの定位置について本を読んでいたのに。本を読みだしたら長時間はその場から動かないはずなのに。今、私の目の前にパチュリーがいる。…どきどきしてきた。目の前に、こんなにも近くにいる。近くで見るとパチュリーって本当に可愛くてきれいで、吸い込まれてしまいそうになる。いや、こうやって見とれてしまっているんだもの。もうすでに吸い込まれてるわ、私。 「…あ、…さ、さっきの本はもう読み終わったの?」 「…いいえ」 「じゃあ、何でここに?」 「を探していたの」 「私を?」 「…お茶でもどうかしらと思って」 パチュリーから私を呼びにきてくれるなんて初めてだわ!(ちょっと興奮した)いつもは私が帰るときに声をかけたり本のことで分からないことがあれば聞くぐらいなのに。というかパチュリーから私に声を掛けてくれるだなんて初めてじゃないかしら。そう考えると何だか嬉しいような、ちょっと悲しいような複雑な気分だわ。実は私はパチュリーに会いにここに通っているのだけれど、ひょっとすると迷惑がられていたのかしら。いや、でもこうしてお茶に誘ってくれるのだから少しは私に心をひらいてくれたのかしら?パチュリーって本当に何を考えているのか分からないわ。でも、今日は素直に喜ぶべきよね。ああ、もしかして私顔に出ちゃってるかしら?私はパチュリーと違って顔に出やすいもの。きっと私の考えていることは顔を見ればすぐに分かるわ。きっと今の私は驚いて口を開いているか、嬉しくてにやにやしているか、意外だわという顔をしているか。いや、きっと全部が混ざって変な顔をしているに違いないわ。 「あ、ありがとう」 「小悪魔にお茶を入れさせるわ」 私はそわそわしながらパチュリーの後をついてテーブルへ向かう。パチュリーのふわふわした髪からいいにおいがしたような気がした。(私って変態だわ)本当は、できればパチュリーに触れたいのだけれど、まだまだそんなことはできそうにない。もちろんそんなことが出来る仲ではないという問題もあるのだけれど私にそんな勇気がない。 「今度おいしいお菓子持ってくるから、その、今日だけじゃなくて…また一緒にお茶してくれる?」 「そうね、たまにならいいかもしれないわね」 「いいの?」 「…美味しいお茶、用意しておくわ」 ここでは全てが灰色 わたしとあなただけの空間 パチュリーむずかしい… 20110221 [★高収入が可能!WEBデザインのプロになってみない?!
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